未来の世界から今解決する課題を見出す

2025 / 01 / 29

暑さに負けず、心温まる歓迎会

昨年、「技術適応持論」という授業を受講し、その内容が非常に興味深かったことから、1月24日に東北大学さくらホールで開催された「知のフォーラム 2024年度 Future Society Design Program」採択プロジェクト「トランジッションデザイン」の学生共創セッションに参加しました。

本セッションでは、突拍子もない未来ではなく、50年後くらいの近未来を想定し、その時代の価値観、文化、環境、政治、ライフスタイルについて考えました。「こういう世界であってほしい」と願う未来を描き、そのために現在の私たちが何をすべきかを模索する試みです。

現在の社会も、過去の人々が「将来はこういう世界でありたい」と考えた結果として形作られているのかもしれません。そうであれば、彼らがどのように未来を想像したのかを探ることで、私たちはより良い未来を創るために、今何をすべきかを見出せるのではないでしょうか。

プロジェクトの概要見出し「プロジェクトの概要」

本セッションは、東北大学と以下の4企業が共同で取り組んだプロジェクトです。

花王株式会社
資源・エネルギーの枯渇が進む中、2050年の生存・保護のあり方とは?

東北電力株式会社
人口減少とニーズの多様化が同時に進行する中、2050年の安心・安全、コミュニティのあり方とは?

株式会社NTTデータ
ヒト・モノ・カネといった物理的リソースが制約される中、2050年の自由や創造性のあり方とは?

nawe Inc.
受動的な個人主義が先鋭化していく中、2050年の自己実現や創造性のあり方とは?

各企業が描く未来のビジョンに対して、私たち学生がどのように感じ、どのようなインサイトを得られるかを探求する試みでした。

近視眼的な解決策からの脱却見出し「近視眼的な解決策からの脱却」

私たちは目の前の問題に対し、差し迫った課題を解決することに意識を向けがちです。
例えば、航空機事故が発生してから、その再発防止策を考えることが典型的な例です。
しかし、このようなアプローチだけでは、あるべき未来にたどり着くことはできないのかもしれません。

未来のあるべき姿を想像し、そこから逆算して今必要な取り組みを考えることで、より本質的な課題を発見し、持続可能な社会の構築に貢献できるはずです。

航空の未来と今できること見出し「航空の未来と今できること」

私は航空機分野の安全管理を研究しています。では、50年後の航空システムはどうなっているでしょうか?

  • 石油以外の燃料(水素など)の活用
  • より高速な移動手段の登場
  • 豪華客船のような快適な飛行機の旅
  • 省力化されたエンジンの開発
  • 完全自動化された航空機
  • 騒音のない航空機
  • 空港キャパシティの最適化
  • そもそも航空機による移動が今後も増加し続けるのか?

これらの課題に対し、現在どのような取り組みが必要なのかを考えることが重要です。
すでに多くの試みが始まっていますが、私たちは今こそ、未来をデザインする意識を持つべきではないでしょうか。

想像力とレジリエンス見出し「想像力とレジリエンス」

皆さんはサイエンスフィクションが好きですか?
私は子供の頃から大好きで、『鉄腕アトム』に始まり、未来の世界に強い興味を抱いてきました。創作推理文庫やハセガワ文庫などの書籍も数多く読みましたし、『ウルトラセブン』で腕時計型の通信機が登場するのを見て、まるでFaceTimeのようだと感じたことを覚えています。いまや、それは未来ではなく現実となりました。

この「未来の世界観をデザインする」という考え方は、レジリエンス(回復力)の向上にとって非常に有意義なアプローチだと思います。人間の想像力こそ、レジリエンスの力を発揮する際に最も重要な要素ではないでしょうか。

未来を創るために見出し「未来を創るために」

本セッションの最終報告3月24日に行われます。ご興味のある方は、ぜひ参加してみてください。また、本セッションに深く関わっておられる岩渕正樹さんの著書『世界観のデザイン 未来社会を思索する技術』もおすすめです。とても分かりやすい一冊です。
世界観のデザイン 未来社会を思索する技術

未来を形作るために、今、何をすべきか。皆さんも一緒に考えてみませんか?